小さな恋のメロディー

                                                           作:林田流香

 

          『はい、榎木です。ただいま電話に出られません・・・・』

          「また留守電・・・・」

       この3日間優弥との電話はつながらない。

       たしかに、3日前の喧嘩の原因は私にあるのかもしれないけど、何もそこまで避けなくたって・・・・

 

       〜3日前の昼過ぎの公園〜

       ベンチに腰を下ろして10分・・・・優弥は何も話そうとしない。

          「ねぇ・・・・何かあったの?さっきからずっと黙ったまんま・・・・」

          「先週の日曜日何処にいたんだよ」

          「・・・・言わなかったっけ?実家に帰るって」

          「本当に帰ったのか?」

          「えっ?」

          「日曜日、駅前を一緒に歩いてた男誰だよ」

          「日曜日・・・・?」

       見られてたんだ・・・・

          「男の人なんて一緒に歩いてないわよ」

          「あん時携帯鳴らしたら、俺の番号見てとらなかったよな?その後、かけたら留守電になった。

           確かに男と一緒にいるところ邪魔されたくないよな」

          「いっ・・・・いい加減にしてよ・・・・だいたいどこにそんな証拠があるのよ!」

          「携帯の履歴見ればわかるよな?日曜日の3時過ぎ」

       その時間に履歴が残ってることはわかってる。

       優弥の手に携帯を乗せる。

       優弥がかけた時間と携帯の残ってる履歴は一致した。

          「まだ、しらをきるつもりか?」

          「・・・・男の人と一緒にはいたけど・・・・優弥が考えてるような人じゃないよ!」

          「認めるってことか?」

          「何で、そーゆー言い方しかできないの?!」

          「俺と話してる10分位の間に一度でも言い訳したか?おまえ・・・・ずっとその男のことかばって

           んじゃん。それが答えだろ?」

          「優弥!」

          「俺、帰るよ」

          「ちょっと待ってよ!」

          「さっきまではまだ言い訳も聞こうと思ってたけどさ・・・・俺、今聞いたらなにするかわかんねーもん」

       結局何も言えないまま帰ってきた。

 

       もう一度かけてみる・・・・

  

          『はい・・・・榎木です』

          「・・・・優弥・・・・?」

          『美晴?』

          「ん・・・・あの・・・・」

          『優弥〜誰?』

       女の人の声・・・・思わず受話器を置いてた。

       何で・・・・女の人と一緒にいるのよ・・・・私への・・・・あてつけ?

       こんなことならきちんと話せばよかったかな・・・・

 

       〜次の日〜

       会社に行くまでの道・・・・何だか足取りが重い。

       会社に行きたくなくてあの時の公園の噴水前のベンチに座った。

          「はぁ・・・・どーしよー・・・・」

       その瞬間、頬に冷たいものが触る。

          「きゃっ・・・・」

          「何、サボってんだよ」

          「ゆっ・・・・優弥・・・・」

       何も言わず私の横のベンチに座る。

          「昨日、悪かったな」

          「おっ・・・・女の子と一緒にいたんだね・・・・」

          「あぁ・・・・」

          「ひっ・・・・人のこと言えないじゃない」

          「文句いうつもりで電話してきたのか?」

          「あっ・・・・ごめん・・・・」

          「話す気になったか?」

          「ん・・・・聞いてくれる・・・・?」

          「じゃ、俺の質問に正直に答えろよ」

          「ん、いいよ」

          「実家に帰ったってのは本当なのか?」

          「嘘じゃない。帰ったよ」

          「じゃ、一緒にいた男は・・・・どういう関係なんだ?」

          「・・・・私の・・・・双子の兄貴・・・・」

          「おまえなぁ・・・・ここまできてまだ嘘つくのかよ」

       信じてもらえないのは分かってた。

       だから言わなかったんだもん・・・・家の都合で離れてる双子の兄貴。

          「これで、信じる?」

       家族で写ってる写真を見せる。

          「で、この兄貴と何で歩いてたんだ?」

          「再来週の土曜日に結婚するの・・・・で、たまには一緒に買い物でもするかって・・・・」

          「そーゆーことは早く言えよ・・・・言ってもらえない方が信じられなくなるだろ」

          「ごめん・・・・優弥・・・・」

          「昨日・・・・どこにいたの・・・・?」

          「あー・・・・駅前のバー」

          「一人で・・・・?」

          「・・・・・・・・」

          「優弥!?」

          「ばーか・・・・上司と一緒だよ。俺がそんなことするわけないだろ」

          「もっ・・・・もー・・・・」

       瞳に涙がたまる。

          「もしかして・・・・疑ってた?」

          「だって・・・・急に黙り込むし・・・・」

          「俺の気持ちがわかっただろ?・・・・大事なことは言えよな?」

          「ん・・・・」

          「それより・・・・おまえ会社行かなくていいのか?」

          「えっ?あー・・・・休み♪」

          「ったく・・・・」

       やっといつもの2人に戻れた・・・・

 

                                                           END

 


       あとがき&いいわけ

       これ・・・・いつ書いたんだっけ・・・・もう、10年くらい前の作品だと思うんですけどね。

       マックの裏紙に書きなぐってた時間つぶしのお話。

       修正はしてないので文章が結構乱雑です。たぶん、30分かそこらで書いたんだと・・・・(苦笑)

 

 

 

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