Kid the Phantom thief
by,ruka
―京都の某所から大阪へ向う車中―
「何か・・・・ゴメンね。結局送ってもらっちゃって」
「いや、いいよ。こんな時間に1人で帰すわけにはいかないし、誘ったのは俺の方なんだしさ。ま、ドライブ
ってのもたまにはいいだろ?」
「うんっ、あたし快斗くんの車乗ったこと無かったからドライブできて良かった」
「はは、そりゃ良かった。なぁ・・・・腹減ってない?」
「あっ、うん・・・・。少し空いたかも」
車は道路沿いのレストランに入り、あたし達は食事をとる事にした。
そう、一緒に居る相手は黒羽快斗くん。
夕方から会って、お茶をしたりしてるうちにすっかり遅くなってしまい、泊まるホテルまで送ってもらうことになって
大阪まで向っているところだった。
「あっ、新一にメールしとかなきゃ・・・・明日会う予定なのに連絡ないんだもん・・・・」
携帯を開いたあたしの手を止める快斗くん。
「今日、俺と会ってること新一は知ってんの?」
「会うことは知ってるけど・・・・多分、この時間には別れてると思ってるんじゃないかな」
「じゃ・・・・俺と一緒に居ることは秘密のままで」
にっこり笑う快斗くんに、あたしも必要なことだけメールをして携帯をしまった。
「そーいや、明日帰るんだっけ?」
「ん、ホント早いわよね・・・・あっという間に一週間経っちゃうんだもん」
「今回は新一とも結構過ごせたんじゃない?」
「そーいえば、そうかも・・・・2人で居る時間がいつもより取れたかもね。けど・・・・快斗くんと会ってるのが
一番長い」
「確かに・・・・。新一には悪いけど、アイツと蘭ちゃんが居る時間以外は俺一緒に居るもんな(苦笑)」
「でも、楽しいからいいんだけどね」
食事をしながら、会話をしつつも中々戻ってこない新一の返信が気になってたりもしてる。
―数時間後・ホテル近くの駐車場―
「ねぇ、快斗くん」
「ん?」
「良かったら、泊まっていかない?・・・・もぉ遅いし、これから帰ったら快斗くんが大変だもん」
「俺は助かるけどさ、それじゃ蘭ちゃんが困るだろ?」
「んーん、あたしは平気よ。だって・・・・こんな時間だし・・・・快斗くんが急いでないなら・・・・」
「本当にいいのか?」
「んっ」
「サンキュ。そうさせてもらうよ」
結局、ホテルに泊まっていってもらうことになった。
「新一からのメールは返ってきたの?」
「それが、まだなのよ・・・・何か事件にでも行っちゃったのかしらね・・・・」
「アイツも多忙だからなぁ・・・・午後には会うんだろ?」
「うん。その予定なんだけど・・・・時間とか何も決まってなくて・・・・快斗くんは明日新一に会っていく?」
「明日か・・・・イヤ、今回はアイツには会わずに帰るよ。俺と、一緒に居たって分かった時の顔も見たいけどさ。
俺はこうやって今、2人の時間を過ごせてるわけだし、たまには、新一にも2人っきりにさせてやらないとな」
イジワルそうな笑みを浮べる快斗くん。
そんな会話をしてると、あたしと快斗くんの携帯に殆ど時間差もなくメールが入ってきた。
「あっ・・・・新一からだわ」
「俺の方もだ」
「“キッドとは楽しかったか?明日は2時ごろになりそうだ。またメールするよ”ですって」
「んじゃ、お互いもう別れてるってメールで」
新一に悪いなとは思いつつも、さしさわりのないメールの交換をしていた。
楽しい会話の最中、ふと、時計を見ると2時を指そうとしてる。
「もう、こんな時間だったんだ・・・・」
「そろそろ寝るか?明日寝不足じゃマズイだろ?」
「ん、そーだねっ」
ベッドに横になり、小さな明かりだけをつけ・・・・また、少し話し始めた時だった。
「なぁ・・・・その小さい明かり消さないのか?」
「えっ・・・・?・・・・あ、明るいと眠れない?」
「俺は暗いほうがいいかな」
「あっ・・・・・・うん・・・・・・」
少しためらいつつも、電気を消すと一気に部屋は真っ暗になり外の月明かりとデジタル時計の明かりが浮かび上がる。
「もしかして・・・・怖かった?」
「えっ・・・・そっ・・・・そんなわけないじゃないっ・・・・全然平気だもんっ」
「そーやってムキになるところを見ると・・・・本当は怖かったんだろ?」
「ちっ、違うわよっ・・・・それに、ただ暗いだけだし・・・・何がいるってわけでもないんだから・・・・怖くないわよっ」
「天井のシミが人の顔に見え・・・・・」
思わず、快斗くんにしがみつく。
「お・・・・お願いだから、それ以上言わないで・・・・・・」
「あはは、本当怖がりだよなぁ。蘭ちゃんは」
結局、眠りについたのは3時も近かった頃だったと思う・・・・。
―次の日―
「なんか・・・・快斗くん眠そうだけど・・・・あんまり眠れなかった?」
「えっ・・・・イヤ寝たよ?蘭ちゃんよりは遅かったけど」
「ずっと起きてたの?」
「ずっとでもないけど・・・・気になって眠れなくてさ」
「あっ・・・・ごめん。あたしの寝相悪かったとか?」
「蘭ちゃんじゃないよ。別のものが・・・・さ」
「それって・・・・まさか・・・・」
「そのとおり」
にっこり微笑む快斗くん。
「い・・・・居たの!?・・・・この部屋に!?」
「あぁ、居たみたいだなぁ・・・・別の女性が・・・・」
「かっ・・・・快斗くんっ!?」
「ははは、悪ぃ悪ぃ・・・・っと、そろそろ出ないとマズイんじゃないか?」
「あっ・・・・うん・・・・」
車に乗っても、最後に快斗くんが言ってた事が気になってしょーがない。
「ねぇ・・・・さっきの、あのホテルに霊が居るって・・・・」
「冗談だよ、冗談。蘭ちゃんの困った顔が見たくてさ、つい」
「・・・・もぉっ・・・・ホントに何もなかったのね・・・・?」
「あぁ、無かったよ。ホラ、そんな顔して新一に会ったら駄目だろ?笑ってないと」
「うん・・・・」
結局、あたしたちは大阪で別れ次の機会にまた遊ぶことを約束した。
最後にはぐらかされたあの話が真実だったことは・・・・後で分かったことだったけど・・・・あたしが
泊まるホテルって、何かあるとこばっかり・・・・。
新一登場編につづく♪