BALANCE

                                           by,ruka

   久しぶりの新一と一緒の休日。

   ソファーに横になりながら小説に夢中になってる新一を見つつ、コーヒーを入れようとキッチンに立った

   時のこと。

   今まで、なかなか聞けなかった “ある事” がふと、頭をよぎる。

       “ コナン君=新一 ”

   何度か疑ったりもしたけど、2人が一緒に居るところを見て、その可能性を何度も打ち消してきたのよね。

   だけど…コナン君が突然海外の両親の所に帰って…入れ替わるように、新一の事件が片付いて戻って

   きた。

   もちろん、偶然なのかもしれない。

   ・・・・でも、偶然って思えないのよね・・・・。

 

      「・・・・蘭?」

      「・・・・えっ?!」

      「何、ぼぉーっとしてンだよ?・・コーヒーこぼれてんぞ?」

      「あっー!、ホントっ」

   慌てて片付けるあたしを、いつものあきれ笑いで見てる新一。

      「何、考え込んでたんだ?」

      「え・・・・あ、何でもないのっ・・・・」

 

   新一から顔をそらすように、手早く片付けるあたし。

      「嘘つけ。“新一に話があるの”って、顔してるぜ?」

   真顔で近づく新一の瞳に、思わず目をそらすと、

      「あっ・・・・ホラ、コナン君・・・・元気にしてるのかなぁーって・・・・」

   その場を取り繕うように、言ってみる。

      「・・・・・・元気にしてんじゃねーか?両親のとこに戻ったんだしよ・・・・」

   何よ・・・・その間。そんな反応してたら疑いたくもなるじゃない。

      「ホントに帰ったのかな・・・・」

      「え・・・・?あったりめーだろ?それとも何か?あのガキがどっかその辺に居るとでも言いてぇ

       のかよ?」

      「違うのっ・・・・あたし・・・・ずっと考えてたことがあるのよ・・・・新一とコナン君・・・・ホントは、同一

       人物なんじゃないか・・・・って・・・・」

      「・・・・・・」

 

   あたしと、新一の間に走る一瞬の沈黙。

 

      「・・・・やっぱり・・・・そうだったの・・・・?」

 

   震える声でおそるおそる聞くあたしの言葉に、真剣な眼差しであたしを見たかと思うとすぐ一転して

   大笑いする新一。

      「バーロー、ンなわけねぇーだろ?それによ、蘭。オメーだって見たハズだぜ?俺と、あのガキが

       一緒に居る所をよ」

      「それは・・・・ホラ・・・・、そう、キッド!怪盗キッドが新一に変装・・・・」

   キッド・・・・そーよ!キッドよっ!!

   あたしの心臓がすごいスピードで動いてる・・・・。

   そーよっ!これが真実だったのよっ!

      

      「おぃおぃ、キッドがあんで俺に変装しなきゃなんねぇーんだよ?」

 

  そんなこと言ってる新一の声も耳に入らないくらい、今のあたしは満足な気分に浸っていた。

  そう、新一が真実を明らかにしたときの・・・・多分、そんな満足感に。

 

      「おーい。・・想像すンのは勝手だけどよ、・・・・蘭の顔。最高にだらしねぇーぞ?」

      「なっ・・・・何言ってんのよっ・・・・」

 

  新一の声で我に返って思わず頬を押さえるあたし。

      「ンで?キッドが俺に変装してくれる、ギリっつーのを聞かせてくれよ?女探偵サン?」

      「ギリも何もないわよ?・・・・キッドの正体は・・・・新一、あなたなんですもの」

 

      「へ?」

      「それだったら、コナン君と新一が別人でも説明がつくのよね。それにあたし、コナン君とキッド

       が一緒に居る所は見てるけど、新一とキッドが一緒に居る所見たことないんだもん。一緒に

       居られないってことは、同一人物ってことでしょう?」

      「ほぉー。ンじゃ、何か?俺は東の名探偵じゃなく、神出鬼没の怪盗だとでも?」

      「えっ・・・・あ、そっか・・・・そーゆーことになるわよねっ・・・・?!」

      「ったく・・・・どっから、そーゆー発想が生まれンだか・・・・」

 

  呆れつつもにっこり笑いながらあたしに近づいてくる新一。

      「オメーに真実ってやつを教えてやるよ」

      「えっ・・・・?!」

  真実・・・・って、まさかホントに・・・・あたしの推理が当たっちゃってるの?!

  ドキドキしながら、あたしの耳元に顔を近づける新一の言葉を待つ。

 

 

      「・・・・蘭、オメーに探偵は向いてないぜ?・・・・探偵の、恋人なら、イケルかもしんねぇーけどな」

 

   耳元でささやく新一の言葉に・・・・あたしの頭の中は真っ白だった。

 

       “ コナン君≠新一≠キッド ”

 

   そんなこと・・・・どうでもいいのかもね。

   だって、今ここに新一がいるんだもの。

                                                おしまい♪

 

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