Little Birthday 

                                       by,ruka

 

―5月3日・米花シティビル前―

  「約束は6時なのに・・・・また事件にでも行っちゃったのかしら・・・・」

今日から明日にかけて、新一の誕生日お祝いする約束で待ち合わせしたのに、新一は時間をすぎても

来る気配がない。

ちょっと不安に思いつつ携帯を握った瞬間・・・・。

  「悪ぃ悪ぃ・・・・出がけに母さんからの電話取っちまって」

  「なぁんだ・・・・また事件にでも行っちゃったのかと思ったわよ」

  「今まで散々待たせてっからな、約束は守らねぇと(苦笑)・・・・んで?何処に行くんだ?」

  「あっ・・・・今度、海の方に出来た水族館あるでしょ?あそこでナイトアクアっていうのやってるのよ。

   で・・・・食事して・・・・」

  「オールナイトで映画か?」

見透かしたみたいに微笑む新一。

  「どーしてわかっちゃうの・・・・?」

  「おめぇの考えてることくらいお見通しだっての。俺観たい映画あんだよなぁ・・・・」

  「もぉ・・・・(苦笑)。じゃあ・・・・新一が見たい映画にあわせるわよ」

  「マジで?・・・・推理もんだぜ?いいのかよ?」

  「今日だけ特別よ」

そう言いながらあたしたちは水族館へ向った。

まさか、あんな誕生日になっちゃうなんて思わずに・・・・。

 

―水族館―

  「ホント、綺麗よね」

  「まぁな、ここのウリはあのでっかい水槽だろ?」

  「そうそう、シロイルカが入ってる水槽でしょ?シロイルカってお客さんにお辞儀するのよね」

  「へぇ・・・・、そーいや蘭イルカ好きだったもんな」

  「ん・・・・なぁんか落ち着くのよね」

  「イルカのショーってそろそろじゃねぇか?」

  「あっ、うん」

あたしが水族館を選んだ理由・・・・。

いっつもデート中にホームズについて1人で語ってる新一の立場にたってみたかったから・・・・かな。

もちろん、勝てるわけはないんだけどね(苦笑)

イルカのショーを見てる最中、視線を感じて新一を見る。

  「ん?」

  「いや、おめぇのそーゆー顔見ンの久々だなって思ってよ」

  「えっ・・・・そ・・・・そう?」

  「あぁ、イルカに妬いちまいそうだよ」

  「もぉ・・・・(笑)・・・・あっ、新一ドルフィンジャンプって知ってる?」

  「あ?・・・・知らねぇけど?」

  「イルカがジャンプしてる間に願い事を三つ唱えると願いが叶うんだって」

  「はは・・・・そんなんで叶うなら苦労しねぇだろ(苦笑)」

  「もぉ・・・・夢がないんだからっ」

水族館を出たあたしたちは、新一の誘いで展望タワーに昇ることにした。

ここはあたしたちの街や海の方が見渡せて夜景がとっても綺麗な場所なのよね。

展望台までのエレベーターはあたし達だけで、なぁんとなく嬉しかったり・・・・。

ガラス張りのエレベーターで外を眺めてると、突然・・・・。

“ガタッ”

エレベーターは止まり電気は真っ暗になった。

  「しっ・・・・新一!?」

  「蘭、大丈夫か!?」

  「うん・・・・停電・・・・?」

  「さぁな」

エレベーターについてる非常電話を押す新一。

  「ダメだ、反応ねぇや」

  「携帯も圏外になっちゃう・・・・動くまで待つしかないの・・・・?」

  「だな・・・・。普通のビルと違って展望台につくまで止まらねぇしな・・・・」

  「あっ・・・・でも、下の階とか上の階でエレベーター待ってる人いたら気づいてくれるわよね?」

  「いたら・・・・な」

小さく見える街の明かりを眺めながら新一が呟く。

  「蘭、時計持ってっか?」

  「んっ・・・・今、11時45分よ」

  「悪かったな・・・・せっかく、誘ってくれたのに計画ダメになっちまってよ」

  「なっ・・・・なんで、謝るのよっ。あたしは・・・・新一と居られるだけで嬉しいんだから・・・・」

  「こんな場所でも・・・・か?」

  「・・・・新一の側にいたら、どんな危ない場所だって平気に感じちゃうわよ・・・・」

  「あのなぁ・・・・。寒くねぇか?」

  「えっ・・・・?・・・・・あっ・・・・」

ちょっと寒くて腕をさすっていたあたしの肩に上着をかけてくれる新一。

  「誰も居ねぇんだな、きっと・・・・もう、1時間くらい経つだろ?」

  「そうね・・・・朝まで待つしかなさそうだね・・・・」

新一の隣に座り、夜景の薄暗い光に写されてる新一の顔を見た。

それと同時に12時を告げる携帯のアラーム音。

  「Happy Birthday 新一・・・・この間時計壊れちゃったって言ってたでしょ?」

小さなプレゼントを渡す。

  「サンキュ・・・・やっぱりおめぇから最初に祝ってもらえるのが嬉しいよ」

  「ホントに・・・・?」

  「あぁ、ホントだぜ?」

優しく微笑む新一。

 

結局、あたしたちは朝までこの中で過ごし、救出されたんだけど・・・・絶対忘れられない

ステキな一晩だったな・・・・。

えっ?・・・・何があったかって?それは秘密よ(^^)

 

                                            おしまい♪

BACK

inserted by FC2 system