パートナー 〜対決〜

                                       by,ruka

 

   部活で遅くなった学校からの帰り道、真っ暗な通りを一人で歩いてるあたしは人の気配を感じて振り返った。

     「・・・・気のせい・・・・?」

   また、歩き出すとやっぱり人の気配を感じる・・・・。

     「・・・・誰っ!?」

     「よっ」

   あたしの声に姿を現した人は以前ちょっとしたことでもめた相手だった。

     「あっ・・・・あなた、この間の・・・・」

     「覚えていてくれたとは光栄ですよ、お嬢さん」

   思わず構えたあたしより、相手の攻撃の方が先だったみたいであたしは気を失って倒れた。

     “・・・・新一・・・・”

 

   以前もめた理由・・・・それは・・・・。

   確かアメリカから帰ってきたばっかりの探偵さんらしくて、探偵と名乗るものが嫌いだとか・・・・。

   あたしのお父さんや新一に難癖つけてくる人だったし・・・・アメリカ帰りってこと自慢気に話すもんだから、

   ついあたしもムキになっちゃって・・・・裏拳で倒しちゃったのよ。

   それ以来、人の視線を感じるようになったから、気にはなってたんだけどまさかこの人だったなんて。

   新一にこの人の話はしたもののまだ2人は会ったことないのよね・・・・。

   でも、何であたしが狙われなきゃなんないのよ・・・・。

 

     「・・・・っん・・・・ここ・・・・どこよ・・・・?」

   気がつくと、倉庫の中みたいな所であたしは手を縛られたまま壁に寄りかかってる状態だった。

     「よっ、お目覚めかい?」

   にっこり笑ってるその顔をあたしは思わず睨んでた。

     「いったい・・・・どーゆーつもりなんですか?・・・・散々人の悪口言ってみたり・・・・こんな犯罪まがい

      なことして」

     「別にどーゆーつもりもねぇさ、俺の顔に傷をつけてくれたお嬢さんともう一度会いたかったってだけ

      でね」

     「・・・・それだけなら、あそこで用事すんだはずじゃない・・・・」

     「まっ・・・・あんたの名探偵ってやつに会ってみたいってのも理由の一つかな」

     「あなたも探偵のはしくれならこんな回りくどいことしないで直接会ってくればいいじゃないっ・・・・」

     「おっと、今の状況を考えて言葉を選ぶんだな?探偵のはしくれ・・・・ってのは聞き捨てならねぇ。

      それに奴も探偵サンなんだろ?・・・・ガールフレンドのピンチに慌てて飛んでくるんじゃねぇの?」

   不敵な笑みを浮べてあたしを見る。

     「そんな・・・・まさか、新一を試すために?!」

   “pipipi・・・・”

   あたしの携帯の着信音で会話が途切れた。

   男はあたしの携帯を耳にあてると、

     「話せよ」

   そう言って通話ボタンを押した。

     「はい・・・・」

     『蘭っ?・・・・無事なんだな?』

     「新一・・・・あたしは大丈夫」

     『ったく・・・・無茶しやがって・・・・奴もそこにいんだよな?』

     「ん・・・・新一・・・・何処にいるの?」

     『おめぇのすぐ側だよ・・・・待ってろな?今行ってやっから・・・・奴に代われるか?』

     「・・・・ん・・・・」

   あたしは男を見上げて

     「新一が代わってくれって言ってます・・・・」

   と言うと男は無言で受話器を耳に当てた。

     「意外と早く分かったんだな」

     『あぁ、これでも一応探偵なもんでね』

   受話器を片手に倉庫の入口から歩いてくる新一が見える。

     「新一っ・・・・」

     「わざわざ、手の込んだ歓迎に感謝するよ・・・・で、俺をココへ呼んだ理由を聞かせてもらおうか?」

     「理由?そうだな、偉そうに警察の真似事してる奴を消したかったから・・・・とでも言えばいいか?」

     「おめぇも探偵だろーが(苦笑)・・・・それに関係あんのは俺だけだよな?蘭を放せよ」

     「おっと、それ以上近づくとガールフレンドの肌に傷がつくぜ?」

   あたしの体は男の力で立たされ、ナイフの刃先が首筋に向けられる。

     「確かに関係あんのは、工藤お前だけかもしんねぇな・・・・けど、この娘にも借りがあってな」

   やっぱり・・・・あたしが前に思いっきり裏拳しちゃったこと根に持ってたんだ・・・・。

   けど、そんなこと根に持ってるなんて・・・・子供っていうか、知能低いっていうか・・・・。

   あたしも新一も隙をうかがいながら男と慎重に会話を進めてる。

     「穏やかに済ます気はねぇってことか・・・・。なんでそんな探偵目の仇にしてんだ?おめぇも探偵

      だったんだろ?」

     「あぁ、探偵だったさアメリカじゃ有名だったしな・・・・けど、お前には関係ないだろ」

     「関係あんだよ。俺も一応探偵だからなぁ(笑)・・・・だから、知ってるぜ?おめぇが白馬に負けて

      日本に帰ってきたってこともな?」

   ナイフを握る男の手に力が入る。

   その状況を見ながらも新一の皮肉めいた言葉は続く。

     「情けねぇよな?白馬に負けた上に日本の探偵にまで負けたなんつったら・・・・けどな、日本の

      探偵もそうそう甘くはねぇんだよっ」

     「Shut up!!」 (黙れっ!)

   チクッと痛みが首筋に走る・・・・。あたしこのまま刺されちゃうのかな・・・・。

   “新一・・・・”

     「If I am your enemy,you regret it later」
      (俺らを敵に回した事後悔させてやるぜ)

     「What Can you do?Now your girlfried has been in hostage!
      (彼女を人質に取られたお前に何ができるっていうんだよ?)

     「Don`t you know?Almost people choose carefully.....their hostage.
      (人質ってのはな相手を選ぶもんだぜ?)

   そう言った瞬間新一の足元に転がってた空き缶が男のナイフを持つ手に当る。

     「痛ッ」

     「蘭っ!逃げろっ!」

   新一の声に素直に逃げようって思ったんだけど・・・・あたしの足は男の後頭部に思いっきりヒット

   していた・・・・。

   男が倒れるのを確認すると首すじについた血を抑えながら新一のところまで歩いていった。

     「ったく・・・・逃げろって言ってんのに、無茶しやがって・・・・」

     「いいじゃないっ・・・・とりあえず、倒せたんだし・・・・」

     「そーゆー問題じゃねぇんだよっ」

     「じゃあ、どーゆー意味・・・・」

   あたしたちの言い合いしてる言葉に、意識をちょっとだけ戻したのか男の声がする。

     「・・・・覚えとけ・・・・よ、必ず・・・・仕返ししてやる・・・・からな」

     「あぁ、いつでも受けてたつぜ?それと・・・・」

   男の方に歩み寄りながら言葉を続ける新一。

     「I never forgive you if you do this again..」

   それ以上は何も言わず、あたしの方へ歩いて来る。

     「蘭、帰るぞ」

     「あっ・・・・うん」

   出口に向って歩き出したとたん・・・・

     「あっ・・・・もう一つ、おめぇの英語自慢するほどたいしたことねぇぞ?じゃあな」

   だって。

     「何か・・・・スッキリしちゃった・・・・。いっつも文句ばっかり言ってくるんだもん・・・・」

     「まぁな、これで少しは大人しくなるんじゃねぇか?」

     「だと、いいんだけどね・・・・。あっ・・・・そーいえば新一・・・・最後の英語・・・・なんて言ったの?」

     「えっ・・・・?・・・・あぁ、何でもねぇよ」

     「あっ、ずるい・・・・教えてくれたっていいじゃないっ」

     「ダメ」

     「意地悪」

     「あぁ、なんとでも言えよ。ぼぉーっとしてる毛利さんに言われても痛くも痒くもねぇし?」

     「ぼぉーっとなんてしてないわよっ!?」

     「へぇ・・・・じゃ、何であんなやつに捕まってんだよ?」

     「それは・・・・」

     「ったく・・・・心配させんじゃねぇよ・・・・」

     「ありがとね・・・・助けに来てくれて」

   結局こうやって言い合いになっちゃうんだけど・・・・新一の意外な一面が見れて、嬉しかったな。

 

                                            おしまい♪

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