シンデレラ・クリスマス

                                          by,ruka

 

―梅田ビックマン前―

  「えぇ!?・・・・何で?キャンセルってどーゆーことやの?」

  『しゃーないやろ・・・・どーしても行かなアカン事件あんねん』

  「ずっと前から約束してたやんかっ・・・・」

  『・・・・と・・とにかく、後で電話するからっ』

いきなり切られた平次からの電話。

周りで楽しそうにしてるカップルが羨ましくも思えるそんな出来事やった。

  「アホらし・・・・なんで平次のことでこんなカリカリせなアカンのやろ・・・・」

手にもった平次へのプレゼントを見つめため息をつくと、時計を見る。

  「・・・・8時かぁ、これからどないしよ・・・・」

今から帰っても、うち誰も居ないって言うてたから一人じゃかえって空しいだけやし・・・・。

そうは思うんやけど・・そこから動くこともできなくて暫く周りのカップルを眺めてた。

  「平次・・・・電話くれる言うてたよね・・・・。待ってたら来てくれるんやろか・・・・」

携帯を見つめ、壁によりかかって座り込んだ。

いくら屋根があるところとはいえ、足から冷え込んでくる・・・・。

缶コーヒーをカイロ代わりに暖まってるんやけど、ほんの気休め程度・・・・。

時計は11時を回っていた。

“pipipi・・・・”

平次の着信に慌てて電話を取る

  「平次・・・?」

  『和葉、おまえ何処におんねん?』

  「えっ・・・・ビックマンの前やけど・・・・」

  『何やっとんねんっ、キャンセルしたやろ?』

  「なっ・・・・何って・・・平次待ってたんやんか・・・・」

  『ったく・・・・あと、20分そこで待てるか?』

  「あっ・・うん、待てるよ・・・来てくれるんやね?」

  『おぅ、ほな・・・・そこから動くなや』

それだけ言うとすぐに電話を切る平次。

20分やったら・・・・今日中に会えそうやな・・・・。

そんなことを考えながら平次を待つことにしたんやけど、20分を過ぎても平次は現われない。

  「平次・・・・来ないやん・・・・何かあったんやろか・・・・」

悪い想像だけが頭をよぎっていく。

  「11時55分・・・・あと、5分で今日終わってまうやんか・・・・」

急に不安になったんやろか・・・・涙で周りの景色が霞んで見える。

そんな視界の中こっちへ向ってくる人影。

  「・・・・平次・・・・?」

  「なぁんや、そんな所に座り込んで・・・・泣いてるんか・・・・?和葉」

優しい平次の声が頭の上からふってきた。

  「なっ・・・・泣いてない」

あわてて立ち上がる。

  「ほな、なぁんで涙の後があるんやろーなぁ?」

意地悪そうに笑う平次。

  「なっ・・・・何やねんっ。こんなに待たせて・・それはないんちゃうっ!?」

嬉しいくせについ意地をはってつっかかってしまうアタシ。

  「キャンセルしたのは・・・・ホンマスマンかったな・・・・」

  「そんなん・・許せるわけないやんかっ・・・・」

  「ったく・・・・謝ってるんやから、ちょっとは素直になったらどうなんや?」

呆れたように笑いアタシをそっと抱きしめる。

  「へっ・・平次・・・・・」

  「こんな寒いところに居ったら風邪ひいてまうやんか・・・・」

  「・・・・平次・・・・」

  「・・・・そや・・・・外雪降ってきたんやで?」

平次の言葉にかぶさるように聞こえる12時を告げる鐘の音。

  「・・ホンマに?ホワイトクリスマスやん」

そう言って平次を見ると、アタシを見つめる平次の視線・・・・。

少しずつ近づく平次の顔に思わず瞳を閉じると・・・・そっと重なる口唇・・・・。

  「・・・・ほな・・・・キャンセルの埋め合わせや、夜通し遊ぼうや」

  「よ・・・・夜通しって」

にっこり笑う平次からメットを受け取った。

平次の言葉に怒ってたことも忘れ・・・・やっぱり信じてて良かったなって思った。

 

                                            おしまい♪

 

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