white carrier pigeon

                                  by:流香

   一人ぼっちになった砂浜で波打ち際に座って、沈む夕陽を見つめている。

     「おまえとはもうこれっきりやな」

   アイツの冷たく放った言葉が寄せては返す波にのまれて行く。

   けど、あまり悲しくないのは何でなんやろ・・・・

   そんなアタシを心配そうに近寄ってくる白い鳩。

   そういえば・・・・アタシがいつも沈んでる時必ず白い鳩を見てた気がする。

   涙で滲んでいる星を、ベランダから眺めている時も

   アイツと喧嘩して、電話ボックスで泣いてた時も

   気がついたらいつも側にいてくれた真っ白な一羽の鳩

   何も言わずにただ側にいるだけやのに、アタシの心の中には

     「君に涙は似合わないよ、君には笑顔が一番さ」

   って、そう聞こえてくる。

   そんな、白い鳩が運んできたアタシへの予告状。

     「あなたが今まで流した涙の結晶と、あなたの心を、今夜頂きます」

   ずっと側でアタシを見守ってくれてたんは・・・・貴方やったんやね。

   今まで何も言えへんアタシやったから、今日は気持ちを伝えたいな。

     「その宝石を貴方の側で・・・・いつも輝かせてください」って。

 

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