今年も、また

 

 

 

 

             大きな花火が

 

 

 

 

 

             儚く散った――――……

 

 

 

 

 

            Title:夏祭り

 

             今日は俺の地域で大きな花火大会がある。

             その二、三週間前から泊り込みで

             工藤達が遊びに来ていた。

              

              「あちーぃ……」

              「こら、工藤っ。んなトコで寝そべんな」

              「いいじゃんかー…畳の上で寝られるのって最高なんだぜー?」

 

 

             ……俺の部屋やっちゅーねん。

 

 

              「んな、無防備にしてっと襲うぞー?」

 

 

             工藤に足蹴りをしながら手に持っていた自分のアイスをほうばる。

 

             ごろん、と寝返りを打った工藤が下から俺を見つめた。

 

 

 

 

 

             その瞳に俺は射抜かれた感じに襲われた。

 

 

 

 

 

 

 

             ―――――――   胸打ち高鳴る音

 

 

 

 

 

 

 

             逃げられなかった

 

 

 

 

 

             固まる俺に

 

 

 

             アイツは不敵な笑みを浮かべる

 

 

 

 

 

 

 

              「襲う相手が違うだろ、バーーカ」

 

 

 

 

 

 

 

             ――――――――――……ッ?!!

 

 

 

 

             多分、こん時俺は顔が真っ赤やったんやろうな…

             工藤がコッチ見て、腹抱えて笑うてる。

 

 

 

              「ったく、今年も…お前らそんなウダウダなのかよ。」

 

 

 

             工藤が起き上がって

             俺のアイスを奪って

             口に入れながら笑った

 

 

             ソレ……俺のやねんけど。

 

 

 

              「今年ぐれー、ちったぁ進歩しろよ? 遠山サンと」

 

 

 

             ―――――――………は?

 

 

 

 

 

             暫しの沈黙が俺の部屋を響き渡らせた

 

 

 

             聞こえるは、窓からの蝉の声と

             風になびいて聞こえる風鈴の音

 

 

 

 

 

 

 

 

             そして、押し寄せる

 

 

 

 

 

 

 

             俺の鼓動…―――――――

 

 

 

 

 

 

 

             待て待て。

 

 

 

 

 

             俺…今、頭に浮かんでいたのは

 

 

 

             和葉やなかった……

 

 

 

 

 

             まぁ…。 誰? と

             自問自答せんと

             勝手に頭ン中ではもう答えは出とるんやけど…

 

 

 

             フッ、と俺は小さく

             笑みを零した

 

 

 

              「まだまだやの…」

              「は?何がだよ」

 

 

              「んにゃ、別に…」

              「わっけわかんねぇ…」

 

 

              「はは、ええねん。ほら、もう祭り始まる時間やで?」

              「お…おー、んじゃ着替えて行くか」

 

 

 

             俺らは浴衣に着替えて、

             和葉と姉ちゃんとの待ち合わせの場所へと

             向かった

 

 

 

 

 

              「おっそーぃ。こっちは待ちくたびれてたんやで?」

              「あはは、こんばんは。二人ともよく似合っているじゃない」

 

 

             神社の狛犬ンところで待ち合わせしていた

 

             黄色の浴衣を纏う和葉と

             その横に居る

 

             薄桃の浴衣の姉ちゃん

 

 

             ごっつ、可愛いやんけ…

 

 

             小さくガッツポーズしたのは内緒。

 

 

 

 

 

              「ん?あぁ、これかー。服部の母さんに仕立ててもらったんだよ」

 

 

             工藤は、濃紺の浴衣。

             そこいらの姉ちゃんが見惚れて振り返るほど

             サマになっているんやなぁ……これが。

 

             別に、羨ましいとかあらへんけど……

 

 

              「ふーん。そうなんや。やっぱ工藤君は何でも似合うてんね」

              「そーかなぁ…服部君も、素敵な深緑で好きよ?」

 

 

 

 

 

             …………うっ。

 

 

 

 

 

 

             そ…ソレは……、浴衣が…?

 

 

 

 

 

 

 

             変な期待をしたらアカン…

 

 

 

 

 

              「お、…おおきに。ほな、ここで駄弁るのもなんやし…中、行こかー」

 

 

 

             一人ギクシャクしながら

             神社の中を歩いていった

 

 

             周りには屋台の賑う声がしたり

             もろこしの醤油のこげる匂いがしたり

             太鼓の音とかよう聞こえる

 

 

 

             祭りの最中は四人で

             イロイロ楽しんだ。

 

             射的やら

 

             金魚すくいやら

 

 

             時間は過ぎて

 

 

             もうすぐ、花火が打ちあがる

 

 

             始まれば

             大きい大輪の花が 夜空に咲かす

 

 

 

 

 

             なんや……

 

 

 

             見ていると、俺は…ちっぽけに見えてくるわ…

 

 

 

 

 

 

             ちらりと、横を見てみる

 

 

 

             上を仰いで花火を見てる姉ちゃんが居る

 

 

 

              「なぁ…毛利の姉ちゃん…」

 

              「ん?なぁに服部君」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             ――――――――――……好きや

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             残念ながら俺の声は

 

 

 

             儚く大輪の花と共に散った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             不思議そうに耳寄せコッチを見ている姉ちゃんが隣

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             俺は微かに口角上げて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             不敵に笑ってみせる

 

 

 

 

 

 

 

 

              周りに居るほかの人らは花火に夢中や…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             俺は姉ちゃんの肩に手を置いて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             ゆっくり顔を近づけて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

             言葉の代わりに唇を奪った―――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

                                       =Fin=

 

 

 

 

             =後書という悪あがき=

              ぐはっ…、ついにやった。ホンマは、最後はアレで終わらせるつもりは無かったんや。
              …でも、前回みたいに終わらせるのもどうやろうなぁと思って…勢いあまってやっちゃいました。
              つか、和葉と工藤は何処に行った。と、そゆ突っ込みはなしで。

              あ、突っ込みといえば……、めっちゃすんません。何か、「平新」に見えるよな。そんなつもりは
              なかったんやけど…。でも、男同士の友情モンは好きやねん。今度の休みん時でもまた書こうかなぁ。

 

              さて、ここでオネエサンに御願いや。

              あのリクエスト…この、蘭sideにしぃへんか?この流れでもええし、この前後の話でもええし…
              どうやろう? 思いっきり細かいリクエストやろー(無理難題)

 

              ほな、また。

 

                                                                 H19.7.16
                                                                 From,Sakuya

 


                  朔也様

              いやぁ……今回は、かなりドキドキしました。えぇ…とっても。
              だんだん近づいてきた、平次くんと蘭ちゃん…お互いちょっとずつ歩み寄ってるよね(笑)

              敢えて、何も突っ込みませんのでご安心を。けど…うん、あたし結構好きなタイプのお話
              でした。ホント、ありがとうね☆

 

              さて……頂いたリクエスト……きっちり返させていただきますね(にっこり)

 

                                                            流香

 

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