Sweet Time

                                              by,ruka

 

  ―大阪駅―

  長距離バスを降りて荷物を受け取って歩き出そうとすると、新一からの携帯の着信に気がついた。

    「この場所だと・・・・すぐ近くのハズなんだけど・・・・」

  辺りをキョロキョロしながら歩いてると、

    「よぉ、お疲れ」

  聞きなれた男の人の声。

    「新一、良かったぁ・・・・会えて」

    「やっぱ、GWとなると渋滞もすげぇんだな。疲れたろ?」

    「んーん、新一と会えたら疲れもどっかいっちゃったわよ」

  久々の再会に、やっぱり会話もはずむ。

  明日は新一のバースデー、今日は2人でゆっくり過ごせる日なんだもん。

  新一の車に乗ると、事件で長期滞在するために借りたという新一のアパートに向った。

    「なぁ、夕飯どーする?・・・・家でとも思ったけどさー、おめぇ疲れてんだろ?どっかで食って帰るか?」

    「でも、外食したらもったいないわよ?・・・・あたしなら、大丈夫だし・・・・何か作ってあげよっか?」

    「マジ?・・・・けど、冷蔵庫ン中何もないぜ?」

    「何があるの?」

    「タマゴとレタスと・・・・ベーコンくれぇしか・・・・」

    「充分よ、その代わり車置いたらコンビニ寄って帰ろ?」

    「あぁ」

  いっつも外食ばっかりだし、こんな時くらいしか作ってあげられないもんね。

  そんなこと考えながら、買い物をしてる時のこと。

  携帯の着信に気がついて、携帯を握るあたし。

    「メール?」

    「あ、うん・・・・キッドからだわ・・・・」

    「・・・・何だって?」

    「“可愛い恋人の手料理か? 納豆入れてやれ”・・・・ですって(笑)」

    「あンのヤロー(苦笑)」

    「あっ・・・・けど、新一って納豆もダメだったのね。知らなかったわよ(笑)」

    「とにかく、早く買い物して帰ろうぜ?」

  よっぽどその場所から離れたかったらしく、納豆が置いてある棚を見るあたしを促して、レジに向わせる新一。

 

  コンビニから新一の家に戻ると、テレビをつけて座る新一とキッチンで手早く料理をはじめるあたし。

  なぁんだか・・・・2人っきりで夜を過ごすことがあんまりないせいか、ちょっと嬉しかったりして。

  お父さんから離れてこーゆーのもいいな・・・・なぁんて考えながら料理をしてた。

    「新一、できたわよー」

  あたしの声に、にっこり笑いながらお皿を受け取る。

    「へぇ・・・・あれだけの材料でも出来るもんだな」

    「そりゃあ、普段ありあわせの材料で作ってるんだもん(笑)・・・・ねぇ、食べてみて?」

    「ん」

  スプーンを口に運ぶ様子が気になる。

  だって、新一にご飯を作ることなんてなかったんだもん。

    「・・・・どぉ・・・・?」

    「美味いぜ?・・・・レタスチャーハンなんて初めて食ったけど、かなり美味いよ」

    「良かったぁ」

  2人でいろんな話しながら食べる食事だったせいもあって、ホント時間が過ぎるのってあっという間。

  次の日から、予定がぎっしり詰まってることもあって早目に布団には入ったんだけど・・・・

  電気を消しても、緊張っていうか・・・・なかなか眠れなくて、小さな電球をつけて二人で話してるのが

  幸せを感じる時間だったりして♪

 

  えっ?・・・・何もなかったのかって?・・・・・・それは、ひ・み・つ☆

 

                                                    おしまい

 

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