チェンジ!
by,ruka
―工藤家―“ピーンポーン”
「はい・・・・」
「ちょっと依頼を頼みたいんだが・・・・」
「あ、どうぞ・・・・」
「何や、事件かいな」
「そーみてぇだな」
とある休みの午後、その依頼は入ってきた。
長期の休みってことで、服部も一緒だったんだが・・・・。
「で、さっきの依頼主。高校生探しとんのか?」
「らしいなぁ、林田流香、17歳・・・・米花女学院2年生」
「けど、手がかりこんだけあるんやったら、すぐに見つかるんとちゃうか?」
「まぁな・・・・ただ・・・・」
「ただ?」
「さっきの依頼主の名刺のマーク、前に俺が関わった事件の組織と一緒なんだよ」
「じゃ、探したらこの子が危険やっちゅうことか?」
「多分な・・・・ま、探してみねぇことには何とも言えねぇけどな」
翌日から俺と服部は依頼された高校生を探すことになった。
学校へ行ってみると彼女は休学中・・・・学校から住所を聞き出すと以外にも簡単に彼女の所在をつきとめることはできた。
俺と同じ米花町の大きなマンションの一室。
「何や、高校生でマンションに一人暮らしとはええとこのお嬢さんかいな」
「服部・・・・この表札・・・・」
「林田未咲・・・・名前を偽ってるっちゅうことか?・・・・裏がありそうやな」
「あぁ・・・・」
“ピンポーン”
「はい・・・・」
出てきた女性は依頼人に渡された写真と同一人物のようだ。
「林田流香さん・・・・ですよね?」
「・・・・い・・・・いえ、ち・・・・違います」
小さい声で答えると、ドアを閉めようとする彼女。
そのドアを止める服部。
「なぁ・・・・ちょっとだけ話聞かせてくれへんか?」
無言でうつむくと再び小さな声で答える彼女。
「・・・・探偵さん・・・・ですか・・・・?」
「・・・・何でわかったんや?」
「い・・・・いえ、ちょっと思っただけですから・・・・それより、何故私を・・・・?」
「あなたを探すよう、依頼を受けたんですよ」
俺の一言に慌ててドアを閉めようとする彼女。
再びドアを押さえる服部。
「姉ちゃん、依頼してきた相手わかってるんやな?ちゃんと話してくれたらなんぼでも協力したるで?」
「・・・・でも・・・・あの人たちに探すように言われたんでしょ・・・・?」
「あなたを向こうには引き渡さないと約束したら、協力してくれますか?」
再びうつむく彼女。
「姉ちゃん俺等嘘は言わへんよ?・・・・話してくれへんかな?」
「・・・・はい・・・・」
彼女はためらいながらもドアを開け、俺たちを部屋に通した。
「あの、表札の名前は?」
「私の・・・・双子の姉の名前です・・・・」
「双子のお姉さん?」
「えぇ・・・・あの組織が探してるのは私なんです。姉は私と間違われて組織から追われ、精神的に参ってしまったんでしょうね・・・・。
別人だとわかった組織は今度は私を探し始めたんです・・・・姉が休学してることは知らない様子だったんで、姉の学校で姉に代わ
身をかくしているんです・・・・」
「アンタの姉ちゃんが行っとった学校ってどこなんや?」
「・・・・帝丹高校・・・・」
「えっ・・・・俺と同じ学校?」
「えぇ・・・・クラスは隣なんですけどね・・・・」
「まっ・・・・まぁ、これも何かの縁や・・・・はよ、全部話してスッキリしたらええんとちゃうか?」
「そうだな。流香さんの安全は俺たちが守る。だから、その組織とのカンケー、話してくんねぇかな・・・・?」
よほど恐い思いでもしたんだろーか・・・・まだ迷ってる様子だ。
(いきなり押しかけられて、んなこと言われても・・・・信じらんねぇよな・・・・やっぱ)
「そんなっ・・・・信じてないわけじゃないんです・・・・工藤さんのことは姉から聞いていましたし・・・・服部さんも新聞で見てますから・・・・」
(俺が考えてること・・・・わかってんのか・・・・?それが組織に狙われてる理由・・・・?)
「はい・・・・」
「なるほどな」
「何や・・・・工藤と姉ちゃんだけでわかってるんかいな」
「私が組織に狙われてる理由は、人の心の中を読むことができる能力をもってるから・・・・なんです。おそらく、組織はこの能力が必要
になったんでしょう・・・・」
「さっき、俺等を探偵ってわかったのも、その能力なんか?」
「はい・・・・」
「同じ双子でも姉さんにはその能力がなかったってことか?」
「えぇ・・・・私だけみたいですね」
「けど・・・・その組織って何してるところなんや?」
「俺が前に関わった時は・・・・麻薬の密輸とかそんな事件だったんだけどな・・・・」
「私も、今どうなってるのかは分からないんです・・・・ただ、何かしらの能力を持ってる人を集めてる・・・・とは聞いたんですけどね」
「姉ちゃんが持っとる能力ってそれだけなんか?」
服部の一言にまた黙り込む彼女。
「何か・・・・あるんだな?」
「なぁ・・・・話してくれへんか?・・・・全部話し聞かな守れるもんも守れへんやろ?」
「・・・・感情が高ぶると・・・・物を動かしたり・・・・敵視する人に危害を加えてしまうかもしれない・・・・」
「組織が狙ってるのは、多分そっちの能力だな」
「・・・・私・・・・」
震える声で呟く彼女、感情が高ぶってるんだろうか・・・・テーブルの上のグラスがカタカタ揺れだす。
「俺等と一緒にその組織を倒すために、その能力貸してくんねぇかな?」
「・・・・はい・・・・」
こうして、俺と服部は依頼主から彼女を守るということで依頼主を呼び出した。
場所は敵のアジト・・・・港の倉庫。
以前の麻薬事件でまだ捜査をしていた目暮警部にも話をつけ、倉庫を囲んでもらい俺達3人は倉庫へ足を進めた。
「さすが名探偵さんだ。さぁ、彼女を渡してもらいましょうか?」
「いや、彼女は渡せねぇな」
「おぃ、話が違うんじゃねぇのか?・・・・こっちは依頼してんだぜ?」
「アンタの依頼は彼女を探すことだったよな?・・・・探してここまで連れてきたぜ?けど、彼女からも依頼を受けてんだ。
アンタ達から守ってくれってな」
「いい度胸だ」
“ズキュンッ”
倉庫内に銃声が響く。
「次は脅しじゃねぇ、撃つぞ?」
不敵な笑みをこぼす依頼人。
「さぁ、大人しく渡してもらおうか?」
彼女を後ろへかばう服部。
「服部さん・・・・」
震える声で呟く彼女。
「大丈夫やで」
「撃ってみろよ、撃てるもんならなぁ」
俺を銃口が狙ったその瞬間だった。
「いやっ・・・・やめてー!!!!」
彼女の声とともに打たれた弾は俺からは逸れ後ろの壁にあたる。
「もう・・・・もう、やめてよっ!!」
彼女の体から出ている能力なのか、組織の奴らが持ってる拳銃が溶け始める。
「凄い能力やな・・・・」
キック力増強シューズにスイッチをいれ、近くにあった石灰の袋を奴らに向って蹴り上げる。
「うわぁーーー!」
「はよ、こっちや!」
出口に向って走り出す俺達。
出口で張ってた目暮警部達にあとは任せて、近くの浜辺に腰を下ろした。
「ホントにありがとうございました」
「ただ、話つけてきただけだしな・・・・後は警察任せ、何もしてねぇって」
「でも・・・・ちょっとホッとしたのは事実ですから・・・・」
「まだ、帝丹に通うのか?」
「せめて・・・・今の学期が終わるまではいようと思ってます」
「これで、一安心やな」
「だと、いいんですけど・・・・」
「何かあったらいつでも相談に来いよな?」
「はいっ」
やっと見せた彼女の笑顔だった。
END
あくまで、仮に作ったお話ですので・・・・最後の方なんてホントなげやりですけど、
まぁ、こんな感じになるということだけでも、分かっていただければ(笑)
もうちょっと・・・・真面目に書けばよかったかなぁ・・・・(苦笑)